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■ 14) Q :極楽浄土/お浄土とは!?2008.7.19

A:一般的には、西方極楽浄土は浄土系の宗旨が云います。

(浄刹・浄土)⇔(穢土・娑婆・現世)

本来は十方に諸仏の浄土が有るとされています。

 極楽は西にもあれば東にも
    来た[きた](北)道さがせ
      皆身[みなみ](南)にぞある
                     古歌

西方には阿弥陀如来の極楽浄土。
東方には薬師如来の浄瑠璃浄土。
そして南方の海上彼方には、観音菩薩の浄土「補陀落(ふだらく)世界」があると言います。

特に西方浄土往生の思想が盛んになると、浄土とは阿弥陀仏の西方極楽浄土をさすようになります。
真言宗で言えば、浄土は弥勒浄土≒兜卒浄土と言います。この浄土は十方の内の、天上に有ると言えます
写真は当山本堂内:弥勒菩薩(掛佛)

(写真はクリックで拡大 二度のクリックで更に拡大)


数多い菩薩の中でも、この弥勒菩薩は少し別格の菩薩です。 
それはこの菩薩が過去の歴史の中で出現した仏ではなく、未来に現れる仏だからです。

今頃お葬式後の挨拶の時、お浄土と言わず。 仏教徒でも、天国と言う人が多くなったように思います。
来世に往生する事を、浄土・天国の違いを考えずに、単なる響きのいい天国と言うのかもしれません。 
十方(天空を含め)に諸仏の浄土があるのだから、それでもいいのかも!


≒ 以下長文ですが(以下数種の資料・事典を総合して) ≒

弥勒菩薩が現れるのは、釈迦入滅後 567,000万年(或いは576,000万年)であるとされています。これは科学的に見ると太陽系の余命とほぼ一致します。古代の色々な伝承に出てくる数字は、非常に驚くべき意味のある数字と、一致していることがしばしばあって何かしら不思議なものを感じます。

弥勒菩薩がその姿を現すとされる世界は、兜卒天と呼ばれる所で、欲界の天道の
中の下から5番目の天で、弥勒菩薩が将来登場する場所ということで、弥勒浄土
ともよばれています。また弥勒菩薩は竜華樹の下で仏になり、人や天人たちのた
めに三度説法すると言われ、これを竜華三会といいます。

四天王の天道に帝釈天や四天王、また梵天などが住んでいるとされるのですが、この天は欲界にある訳で、こういう神様たちでさえ「天人に五衰の相あり」と、言われて流転輪廻の中にある迷いの世界となっています。

この欲界の上には色界があり、欲界と色界で1世界を構成しています。1世界が1000個集まって小千世界、小千世界が1000個で中千世界。中千世界が1000個で大千世界といい、この3つの千世界を総称して三千大世界といいます。科学的に見ると1世界が地球のような惑星 小千世界が銀河 中千世
界が銀河団、大千世界が超銀河団でしょうか?

さて、弥勒菩薩はインドでは、マイトレーヤとよばれ、インド宗教と兄弟関係にあるゾロアスター教では、ミトラ神に対応します。
しかし実はミトラ信仰は、ゾロアスター教よりも古いもので、契約の神・天空神・光明神で、又冥界の裁判官でもありました。

ゾロアスター教でアフラ・マズダが、最終的に全知全能の神に進化して、アフラ・マズダに帰依していた人々の時代が来るという話や、キリスト教でその内最後の審判が行われて、神と契約していた人々に新しい時代が約束されるという話は、このミトラ教の影響で生まれました。 弥勒菩薩が56億7千万年後に登場して、全ての衆生を救済するというのもこの話の変化のひとつでしょう?

日本では天空に近い山の上に、弥勒浄土があるという信仰が中世の頃からありました。また弘法大師が入定される時、自分はこれから弥勒菩薩のいる所へ行って、56億7千万後に弥勒菩薩とともに、この世に戻って来る、と言ったという話が伝わっています。 

弥勒信仰自体は、聖徳太子の頃既に朝鮮半島などでも盛んだったようで、かなり古い時代の弥勒菩薩像が、国内にも何体も残っています。この頃の弥勒菩薩像は、京都の広隆寺のものに代表されるような、片足を曲げてもう一方の足の上にのせ、手の指を頬に当てて、何か物思いにふけるような美しい姿をとっています。
これを半跏思惟像(はんかしいぞう)といいます。逆に半跏思惟像はたいてい弥勒菩薩像ですが、奈良中宮寺の如意輪観音像のような例もあります。この中宮寺の像は指を微かに内側に曲げていて、この様子が非常に微妙な安らぎを与えています・・・と、