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■ 72)〓江戸・夏の夜の風物詩“蚊焼き”を知っていましたか?〓歌川国貞錦絵『星の霜当世風俗“蚊焼き” 』〓蚊帳は蚊を防ぐアイテム。「くわばら・クワバラ」の呪文。2015.7.3

(画は【 click!】で拡大表示)=2430万画素=
現在では考えられない珍しい風俗なので、この国貞の「蚊焼き」の風物をアップしました。紙縒り(こより)で火を焚き、蚊を焼いて器用に退治する風習。蚊を防ぐ昔のアイテムが蚊帳(かや)。第二次大戦後間もなくまで蚊帳はありました。「蚊焼き」の風習はさらに古い江戸時代の昔のこと。

歌川国貞(1786〜1864)は作品数では、浮世絵師随一言われる数万点の作品を残し、国芳や広重を押さえて当時人気No.1を誇った浮世絵師です。22歳で浮世絵界にデビューしてから79歳で亡くなるまで、歌舞伎や吉原、当時の文化風俗など、まさに「江戸文化の全て」を描き切り、幅広いさまざまなジャンルに挑戦した浮世絵界のトップランナーとして走り続けた大御所中の大御所で、豊かな広がりを持つ画業で活躍した。
歌川国貞のことは以上サーチ【search】

  〓ごく最近まで日本の夏の夜は、蚊帳(かや)で蚊を防いで寝ていました。〓

蚊帳の歴史は古く、蚊帳の使用は古代にまで遡り、古代エジプトのクレオパトラがすでに愛用していたようです。日本では天平時代に、唐から日本に伝わり、高貴の身分の人々だけが使っていいたようですが、次第に貴族に普及しました。やがて時代は江戸時代に入ると、近江商人の西川甚五郎という人(ふとんの西川の2代目)が、麻糸で織った蚊帳を、萌黄色に染め、紅布をつけた「近江蚊帳」を発売し、爆発的に売れ、以来、このデザインは今も蚊帳のオーソドックスなものとして残っているようです。
以上蚊帳の歴史はサーチ【search】

‥…: 歌川国貞浮世絵「星の霜当世風俗(蚊やき)」素人迷鑑賞 :…‥

蚊帳(蚊屋とも)のことですが、・・・
現在のお若いお方は、知らない人が多いと想います。就寝時に麻や綿で出来た四角いネットを部屋の四隅に端っこを吊り下げて、布団がくる部分を覆い、蚊が侵入しないようにするものです。亜熱帯地方では、今でも使用していろと想います。
この浮世絵をご覧になれば、ある年配以上の人は、あ〜あ、これ! と思われる人は多いいと想います。
蚊帳の下方に珍しい箱枕が描かれています。この枕は江戸時代、男女ともに髷(まげ)を結っていたため工夫された枕。木製の箱の上に小さな括(くくり)枕(筒状の布にそばがらを詰めたもの)を載せたもので,髪形のくずれを防ぐため,首のつけねにあてがうものです。これは現在、全く見かけなくなった枕です。箱枕は私のお祖母さんは、日本髪でもないのに戦後間もない頃ままで使っていました。夏は箱枕のほうが涼しかったのかも知れません。 現在は箱枕は見かけなくなりましたが、蚊帳は癒しを目的に、現在でも製品が販売されています。
余談だけど、「蚊帳」の読みは漢字検定2級程度のレベルだそうです。昔は必需品だったが、今はなつかしい思い出の一部となってしまった蚊帳です。“かや”と読める人も少なくなりました。
・蚊帳吊りし昭和の釘の残りけり。 成井侃
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まだ蚊帳を吊っていたお盆の時期、いつまでも箱枕をしていたお祖母さんがよく言っていた言葉を思い出します。それは「お盆詣り(棚経)に出かけて彼方此方の檀家さんから、おもてなしに出された西瓜を食べ過ぎると血の汗を掻く」と言ってよく注意されました。白衣の膝辺りに、スイカの汁がこぼれて赤いシミをつけるからです。赤い血の汗はないのですが、西瓜を戴くとき汁がこぼれて膝等に溢して赤いシミになることを、そんな比喩で、驚かすように言っていたのです。懐かしい話です。

子供の頃の蚊帳の中は、透けてはいるけれど、密室に入った感じで、そこは秘密の部屋!
何か世界が違って見えたものでした。包まってるような、守られているような…!。そんな懐かしさがありました。親から雷が鳴っても蚊帳の中だから安心だと言われ、安堵して蚊帳の中で身を潜めていた想い出があります。実際蚊帳の中は部屋の中心です。雷が鳴るとき比較的部屋の中心になるのが一番安全なのだそうです。蚊帳は部屋の中の中央に貼ります。それ故、昔から蚊帳の中に入れば安全だと言われることは理に適っていると想います。
そんな蚊帳の中に蛍を放って楽しんだ思い出もあります。
・人寝ねて蛍飛ぶ也蚊帳の中。        正岡子規
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蚊帳にちなんだ句。
・新しき蚊屋に寝るなり江戸の馬。      小林一茶
・皃(かほ)白き子のうれしさよまくら蚊帳。 与謝蕪村

蚊帳に入るときは、蚊帳のすそを両手でつかんで軽く振って、サッと入ります。もたもたして蚊帳の中に入ると、親から蚊が入ると言って叱られました。

この浮世絵は蚊帳の中で、「蚊やき」をする夏の風習ですが、この風習が江戸時代にあったことを知りませんでした。蚊帳に紛れ込んでしまった蚊を、紙縒り(こより)に、たぶん菜種油を少し染ませて火をつけ追いかけて燃やし、直接蚊を焼いて退治しようとしている風景です。蚊帳の中で燃やして大丈夫か?と言うほど危険で心配ですが…!?。蚊帳を焦がしたり、火災を頻繁に起こしたのでは?。蚊帳を焦がして大騒ぎする光景が眼に浮かびます。

八花形の縁の銅鏡の中に題名が書かれている「幾星霜を経ての当世風俗」は、シリーズになっています。行燈の光に浮かぶ美人の顔と胸。姿が印象的な作品です。
この絵では焔の先に蚊が描かれています。蚊帳に入った蚊を紙縒りの火で焼く、美人の仕草に少し驚です?。でも女性の表情になんともいえない真剣さを想います。焼かれる蚊を何かに象徴させているのでしようか?蚊を追いかける真剣さに異様さを感じます。筒状の大きな行燈の揺らぎと、蚊焼きの焔の揺らぎが、実際の部屋内では、夏の情緒をより醸すかも知れません。
国貞「星の霜当世風俗 (蚊やき)」のことを調べていたら柄は全く同じで、浴衣の色が違う(薄緋色)のがありました。きっと初刷りと、後刷りによる違い?なのかと想います?
・寝る前からほどけかけた帯、ポーズは柔らかく、蚊帳の中の胸元もはだけた浴衣姿で粋。少し年増に見えるお転婆風な美人で色気たっぷり。一般家庭の女将さんでしようか?それとも誰かを待つ身の独り者でしようか?
・蚊を火で焼くために追いかける姿の真剣さに、後から蚊帳に入る人の気遣いや、優しさを感じます。この時代蚊帳を吊れるのは、裕福な商家や武家の家庭のよう!そんな裕福な女将さんのように想います?
・蚊帳の内、外の調度品(長火鉢・大き目な筒行燈)は一般家庭と比べて豪華です。裕福な家庭のよう!
・それとも、蚊帳の裾からのぞく団扇が役者絵という趣向を凝らしていますから、役者絵の団扇を持って扇ぎ、涼みながら今から一人寝なのかも…!?。
・裾の赤い蹴出=(ゆまき・ ゆもじ)をはだけて艶めかしい姿です。
・蚊帳の中の団扇の絵は、国芳の時代だったら、三代目尾上菊五郎演じる助六でしようか?
・焼かれた蚊の匂いと、妖しげな雰囲気で妖気を漂わせています。
・蚊帳の中に扇子・団扇を持ち込んで、涼をとろうとしています。
・以上のことを、自分が蚊帳の中に、あたかも一緒に入って、観ている視線で表わされています。そのことでより艶めかしく観えます。
・この蚊帳の繊維の線はすごく緻密です。その蚊帳の網目が版画に彫られていることに驚かされます。蚊帳の網目を彫るのは、彫り師の腕の見せどころす。
それにしても「蚊やき」の風習は、紙縒り(こより)に火をつけ蚊を追いかけ焼くことには、当時の人の目の良さと、器用さを想います。
紙燭で蚊焼きをすることもあったようです。
この絵を見ると、蚊焼きの生活風習は、蚊遣火(蚊を追い払うためにいぶす火。)と違います。
蚊の多い夏の夜には、昔は蚊帳が欠かせません。蚊帳に紛れ込んでしまった蚊を、燃やして退治しようとしている表情。
・蚊帳の繊維を精緻な表現で描いています。これは絵師・彫師・刷り師、の技量は並みほどではありません。
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「大事な情報などを知らされない」「仲間はずれ」といった意味合いで、「蚊帳の外」(かやのそと)という言い回しがある。
「蚊帳の外」という言葉があるので辞書で調べました。それは、蚊帳の外とは、蚊にさされ放題の蚊帳の外に置かれるという意味、つまり部外者の立場に置かれることをいう。蚊帳の内ではおいしい話が進行中でありながら、蚊帳という薄い布一枚でへだてられその輪に入ることができないもどかしい状況を言い表している。裾をまくれば簡単に中に入れる蚊帳は、蚊帳の中にいてこそこそと話を進めている人々の精神的なバリアを意味しており、仲間に入れそうで入れないという微妙な疎外感が表現されること。
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【和霊様と蚊帳つらずの伝説】以下、サーチ【search】
今は昔、宇和島藩主伊達秀宗(伊達正宗の子)に仕えた山家公頼(やんべきみより)は、藩政の刷新充実に勤め、その功績は大きなものがあった。ところがそれを妬んだ奸臣大橋右膳らによって、元和6年(1620)6月23日の夜半、襲撃を受けて妻子と共に蚊帳の中で非業の最後を遂げてしまった。宇和島にある和霊神社はその山家公頼をまつったものです。後年、玉島へ往来した宇和島の商人によって羽黒山に分社として合祀されます。
和霊祭の夜( 旧暦6月23日が多い)蚊帳をつらずに寝るという習俗が各地にありました。
中四国で崇められている和霊信仰。和霊神社の分社は、中四国にかなりあります。
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子供の頃、雷避けに「くわばら、クワバラ」と、呪文のようによく唱えていました。昔から「地震・雷・火事・親父」と怖がっていました。その雷を避けるために、・クワバラ・クワバラという呪文が生まれます。
それで、以下、サーチ【search】しながら…。
1 桑を植えた広い畑。桑田。
2 (「くわばら、クワバラ」の形で、感動詞的)に、
・落雷を防ぐために唱えるまじない。
・嫌なことや災難を避けようとして唱えるまじない。
[補説]死後に雷神となったという菅原道真の領地桑原には落雷がなかったところからという。また、雷神が農家の井戸に落ちて、農夫に蓋をされてしまったとき、雷神が「自分は桑の木が嫌いなので、桑原と唱えたなら二度と落ちない」と誓った、という伝説によるともいう。
さらに、叱られたり、小言を言われる事を「雷が落ちる」と表現したことから、これにも「くわばら、くわばら」と唱えるようになる。
もう一つ面白い説があります。
・今から約450年前の1556年(弘治2年)のことです。あわて者でいたずら好きの雷の子が いました。ある時、雷の子はあやまって欣勝寺の古井戸に落ちてしまいました。なんとかして外へ出ようとしましたが、出ることができなかったので、雷の子は大声で「助けてくれー!」と叫びました。しかし、和尚さんはいたずらばかりする雷の子をこらしめようと、古井戸にふたをしました。すると、雷の子は和尚さんに「助けておくれ。桑原へは二度と雷を落とさない。」と言ったので、和 尚さんは雷の子を助けてあげました。雷の子は帰って親に、一部始終を話しました。
雷の親は、和尚さんにたいへん感謝し、他の雷たちにも「これから欣勝寺や桑原には絶対に落としてはならないぞ。」と戒めました。
それからというもの、欣勝寺や桑原には雷が落ちたことがないといいます。
以来、「くわばらくわばら」と唱えると雷は落ちないと、言い伝えられます。   この中に出てくる桑原というのはそのお寺のある地名ですが、本当は当地の地名である“桑原”から由来しているのではなく、
・「仏教用語」の「クワンバラン」(インド、サンスクリット語で、いやな事や、恐ろしい事を避けるときに唱えるおまじない)がいつの日か「くわばらくわばら‥」と呼ばれるようになったという説もあります。
・クワバラ・クワバラの呪文は、昔の子供たちのこころの避雷針かも知れません。

蚊帳の中には雷が落ちないと言われていたのは、蚊帳がバリアーの役目となって、蚊帳の空間で守られていると言う感覚を憶え、今で言う避雷針的な安堵が感じられたからでしようか?。

・人愚なり雷を恐れて蚊帳に伏す  正岡子規 

「くわばらくわばら‥」は、現在よくある“なりすまし詐欺”“振り込み詐欺”の災難を防ぐ為に、電話に出る前に心がけて唱え、身構える必要がある呪文につかえるかも…?。
電話でお金の話が出たら、可笑しい電話です。「くわばらくわばら‥」と直ぐ切りましよう…!。
〓子規に関しての余話。〓
子規は大食漢だと、愛媛から下関にお嫁に来られた当山の檀家の奥さんから聞きました。その私と同年代の奥さんは、ご自分のお母さんから聞いたということです。ご自分の祖父は子規と深く親交があったようです。ご自身は山頭火のことを子供の頃よく見かけ知っておられれるようです。実家は道後温泉で旅館をされていました。
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また、昔、日本の子どもは夏に腹を出していると「かみなりさまにへそを取られるぞ!」と周りの大人から脅かされました。
雷が鳴らなくてもへそを出していると雷さまが取りにくるらしいです。
雷さまとは・・・
雷神という雷の神のことです。昔は雷は神が鳴らすものと信じられていたため「神鳴り(かみなり)」と呼ばれるようになったとか?。「風神雷神図」のようにリング状にならんだ太鼓、牛の角に虎の革のふんどしをしめた鬼の姿で描かれることが多いようです。
『いかずち』とは雷の平安時代以前の古い読み方。「いかずち」と雷は意味は同じです。
現代では身に降り掛かるという場合に使われているようです。天変地異など神の怒りにふれるとかそういうのです。
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=余談=以下、サーチ【search】

いかずち いかづち 【雷▽】
〔「厳(いか)つ霊(ち)」の意。「つ」は助詞〕
@
かみなり。なるかみ。 [季] 夏。 「鼓の音は−の声と聞くまで/万葉集 199」
A
魔物。 「上に八色(やくさ)の−あり/日本書紀 神代上訓」
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かみ なり 【雷】
@
〔「神鳴り」の意から〕 雲と雲との間,あるいは雲と大地との間の放電によって,発光と音響を発生する自然現象。かんなり。かむなり。いかずち。 [季] 夏。
A
雷を起こす神。鬼のような姿で虎の皮のふんどしをしめ,太鼓を輪形に連ねて背負い,これを打ち鳴らす。人間のへそを好むという。雷神。なるかみ。かみなりさま。
B
(比喩的に)腹を立ててどなりつけること。 「先生の−が落ちた」
[句]
雷が落ちる ・ 雷を落とす
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かみなり 【雷】
狂言の一。雲を踏みはずして地上に落ちた雷が,通りかかった旅の医者に治療をうけ,薬代の代わりに天候の順調,五穀の豊穣(ほうじよう)を約束する。
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らい [1] 【雷】
かみなり。いかずち。 [季] 夏。

いかずち 【雷】
1. かみなり。
語源
• 厳(いか)+つ(助詞)+霊(ち)
発音
い/かずち

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=余談=以下、サーチ【search】
・稲光は松茸・椎茸等の茸類の生長を促すと言われています。
・有名な「起きてみつ寝てみつ蚊帳の広さかな」は、(加賀千代女)と一般に伝わりますが、この句をサーチしたら、
これは千代女以前の江戸時前期〜中期の遊女(浮橋)の句とありました。
加賀千代の句とされていたこの句の作者「浮橋」は、享保(1716-36)のころ没したとされる。千代女の作ではないとされます。元禄7年刊,和田泥足撰の「其便(そのたより)」にこの句がみえ、同書に「鵲(かささぎ)に我やかはらん天の川」の句もある。・・・当時の江戸っ子はこの句をもじって、江戸川柳に「お千代さん 蚊帳が広けりゃ 入ろうか」と返します。
・かや‐の‐そと【蚊‐帳の外】
[蚊帳の外で蚊に刺されていることから]無視され、不利な扱いを受けること。また、物事に関与できない位置に置かれること。内情がわからない立場に置かれること。「当事者を蚊帳の外に置いて議論が進む」「優勝争いから遠のき蚊帳の外に追いやられる」
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・漢字の「蚊」は「ぶ〜ー〜ん」という蚊がやってくるあの音からではないかという説もあるのだそうです。

・現在、地球には3500種とも言われる蚊が生息しており、その中の数百種のみが人間の体を刺して血を吸うことがわかっています。蚊はほぼ全ての大陸に生息し、数多くの生態系の中で重要な機能を果たしてきた。蚊は1億年以上も地球に生息しており、非常に多くの種とともに進化を遂げてきた。生態系の一端を担う蚊が一掃されてしまうと、蚊を食糧とする生き物の生態が脅かされ、また一方では花粉を媒介してもらっていた植物が、絶滅してしまうことも考え得えうるのだそうです。