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■ 57):六曲一双十二面紙本金地着色屏風:【早春の竹藪・雀のお宿(仮題)。】2012.6.15

(画像はクリックで拡大)

(仮題)「松竹梅金地着色風風」・「竹林飛雀金地着色屏風」
松竹梅は、慶事・吉祥のシンボルとして松・竹・梅の3点を組み合わせたもののことで、日本では祝い事の席でよく使われる。

竹林飛雀(取り合わせのいいこと)でもあります。
六曲一双十二面紙本金地着色風。
双隻は「松竹梅(若草・若松・老梅の花・親竹及び筍・小川・雀)の春景色を、右隻から左隻奥に遠近で描いた」画なのだと思います。
左隻は竹林の中の豊かな川の流れの風景で、右隻は開花した梅の「老」と竹の「壮」、筍・若草・若松等の「若」を表した、竹林の中の水ぬるむ小川の春景です。
この屏風は高さ122センチ(双隻を入れる木の箱あり)の小振りです。
屛風の中には、172センチ以上の大型のもあります。

折り本。折り手(で)本。また、屏風(びょうぶ)など折り本ふうに仕立てたものを「帖(じょう)」と言います。だから「帖」は屏風を数える語のようです。
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「竹に虎」・「竹に雀」という慣用句があります。
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:竹林と雀:日本画の画題です。
小雀の頃は竹藪の中で生活する習性です。題して、【早春の雀のお宿=(仮題)】。

地にしっかり根を張り、常緑の色を失う事なく、竹は物事の節目ごとにのびていくことを表し、たくましい生命力を表現する竹林。雀は昔話や、民話の中にでてきて、害虫を食べてくれる益鳥でもあります。それ故五穀豊穣を意味する雀でもあります。『家内安全・一族繁栄』の意味合いがある縁起物でもあります。
「雀」ほど、私達日本人にとって親しみ深く、人の生活に密着した身近な野鳥はありません。
小雀の頃は竹藪の中が定宿です。
昔話や民話の中でも、害虫を食べてくれる【益鳥】としての話、各地に伝わる俗信の中でも、身近で好意的な鳥。
他にも『竹に雀』や、『稲穂に雀』に代表される様に、家紋にも多く用いられるなど縁起の良い野鳥です。

寺院による屏風の役目。大寺院の大きな法要にも用いられます。
それを 【山水屏風(せんずいびょうぶ)】と云います。
山水(サンスイ)を描いた大型屏風で、真言密教の灌頂儀式の調度の一つとして使用されるもの。よく使用され有名なのは、東寺(教王護国寺)・高雄の神護寺・高野山金剛峰寺などがあります。
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びょう‐ぶ[ビャウ:]【屏風】-日本国語大辞典。
〔名〕(「びょう」は「屏」の呉音。風を屏(ふせ)ぐの意。折りたたんで移動する室内の障屏具。装飾をかねて風を防ぎ、室内の仕切りに用いる。
防風など生活用の家具で、出産の場を囲む屏風でもありました。
その反対である葬儀の時の慣例に、
昔は屏風のある家は、「逆さ屏風<写真のような屏風を、天地逆さに立てる>」という習慣がありました。現在では家に、屏風がないことが多いいし、葬儀を自宅でなく、葬儀会館で行うことが多くなったので、「逆さ屏風」の習慣は、殆んど見かけなくなりました。
それは昔、葬儀に関係するものごとでは、通常の逆に行なう「逆さごと」というものが行なわれていました。その一つが死者の枕元にする「逆さ屏風」です。
他に「逆さごと」には、普段の生活とは違う「あべこべ」がありました。
死を生者の領域から隔絶させるためであり、死は日常の生活とは違うということで真逆にするのです。
それは、死者の着物のあわせを「左前」に着せる。湯灌の際などに水に、お湯を注いでぬるくする「逆さ水」。死者のふとんを天地逆さにする「逆さ布団」。さらに納棺時には、足袋を右左逆にはかせたり、着物の裾を顔の方に、襟を足元に掛ける「逆さ着物」といった作法が残されています。そんな作法を、人目を避けて、屛風を逆さにした内側で行っていました。
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・昔の家はすきま風が通るのが当たり前、寝る時も寒かったはずです。枕元にたてた  屏風は想像以上に大きな役割を果たしたのでしょう…
 生活に欠かせない調度品が芸術にまで発展し、屏風の奥の深さ、芸術の域にまで高め られました。
・昔の長屋には押入れなどはなく、布団はたたんで、部屋の隅に置かれ、枕屏風(低い 二面の屛風)で囲み、屏風で目隠しの役目をさせていました。
 そして寝るときには、枕元に立てた屏風が、隙間風を防いでくれる合理的なものでし た。
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・観賞用の屏風・ 絵屏風・拓本貼込屏風・貼りまぜ屏風etc..
・装飾用の屏風・ 金銀箔押屏風・砂子撒き屏風・雛屏風・無双屏風・夏屏風(絵屏風) etc..
・防寒・防風など生活用の家具。 枕屏風・障子屏風(夏屏風)etc..
・儀式用調度品・ 金銀箔押屏風・白張屏風・社寺院の内陣の用具として用いる屏風et c..
・各種の道具として用いるもの・ 風炉先屏風・香屏風etc..
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〜主な屏風の用途〜
 ■金屏風■ 風格のある気品を備え、荘厳な儀式の場や、豪華な各種宴会の場(結婚 式の披露宴etc..)に使用され、その存在はより高い雰囲気をかもし出す効果を上げ、 屏風の中の王者。
 ■風炉先屏風■ 風炉先屏風は、茶の湯の道具の一種として用いられる。道具畳の結 界として2曲の小型屏風。形態・材質・仕様など各流宗匠の好みにより異なります。
 ■雛屏風■ 弥生(3月)の節句の時は、雛段の最上段に置く、内裏雛の背景を飾る小 屏風のことで、端午の節句(5月)の時は鎧・甲などの背後へ、幔幕の代わりに飾る屏風 も雛屏風に入る。
 ■変わり屏風■ 使う方の使用目的・場所etc..あるいは屏風本来の役割を変えて、 別の目的に使用するように作られたもの。
 ■枕屏風■すき間風などを防ぐために、枕元に立てる低い小さい屏風。